漢方薬とアロマセラピー ~オレンジスイートをテーマに~

アロマテラピーで有名なオイルといえば、ラベンダーなのですが、日本人にはなかなかなじみがありません。

しかし、スイートオレンジの香りは、日本人にとってもなじみ深いものです。スイートオレンジには鎮静作用、リラックス、リフレッシュ効果、血液循環促進、健胃作用を持つ成分が含まれています。

漢方薬も健胃作用のあるものに、陳皮というミカンの皮を干したものを使ったりします。芳香、芳しい香りのするものが胃腸薬に使われたりするなど、アロマテラピーと漢方に共通点が見られます。スイートオレンジはシトラスシネンシス、という種類のものを使い、陳皮は温州みかん、シトラスウンシュウという種類のミカンを使うので別の種類のものにはなるのですが、芳香をもつ生薬が漢方薬にも使われているところは興味深いと思います。


陳皮のような芳香生薬は主に胃腸の症状に使われます。陳皮を含む代表的な漢方薬しては、六君子湯、補中益気湯、抑肝散加陳皮半夏などがあります。

六君子湯は、胃炎、胃下垂、消化不良などの上部消化管の消化改善に効きます。

補中益気湯は虚弱体質、疲労倦怠、病後の衰弱などの体力の低下、そして、胃腸虚弱、食欲不振などに使います。

抑肝散加陳皮半夏は、神経の高ぶりを鎮めるような作用を持っており、神経症、不眠症、小児の夜泣きなどに使います。イライラを鎮めるために処方と考えられます。

そのことと考え併せても、オレンジスイートに含まれる精油成分の鎮静、リフレッシュ、リラックス、健胃作用と共通していますね。

また、民間薬として古くから服用されている陀羅尼助という胃腸薬でつかわれている生薬は、オウバク、ガジュツ、ゲンノショウコなのですが、オウバクはミカン科の樹皮、木の皮が原料となっています。

オウバクでは、芳香性によって効果があるというわけではないのですが、胃腸への作用を期待できるという点において、ミカン科に共通している作用があるというように思います。

精油は医薬品ではないため、治療を目的とするものではないのですが、うまく、生活の中に取り入れていけるとよいかもしれません。医療の現場でも、アロマセラピーを取り入れているところもあります。例えば、産婦人科で妊婦さんにアロマオイルを使ってマッサージをしたり、歯科医院でアロマオイルを焚いたりするなどです。

人間の持つ五感のうち、他の感覚が大脳新皮質を介して大脳辺縁系に伝わるのに対して、嗅覚は原始の脳といわれる大脳辺縁系に直接伝わります。大脳辺縁系は原始の脳と呼ばれており、人間の本能、感情に直接作用します。そして、その情報は、自律神経系や内分泌神経系を支配する視床下部に伝えられます。それからその情報は視床下部から、さまざまなホルモンの分泌をコントロールする内分泌系の器官である下垂体にも伝わっていきます。

確かに、食べ物の美味しそうなにおいを嗅いだら、すごく食べたいという要求にかられたりしますよね。理屈じゃなく、本能というか…。嗅覚がそういった経路で脳に伝わっていることが分かれば、それも納得できますね。

 

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薬局薬剤師として、処方箋調剤を中心に市販薬、健康食品などの販売をしてきました。何か、患者さんに、薬剤師として還元したいという気持ちから、研修認定薬剤師、漢方薬、生薬認定薬剤師、メディカルアロマインストラクター、ハンドセラピストなどの資格も取得しましたが、処方箋調剤では、とにかく、早く薬を用意すればいいんだという空気に耐えるしかないことも多く、あまり、それらを生かしきれていないと感じていました。(*_*) これまで、デイサービスで小さなセミナーをさせていただくなど、地味に還元させていただく活動はしてきましたが、それでは、限界があると思いました。いままで、患者さんから受けたご質問などをふりかえって、薬剤師として得た知識を、すこしでも多くの人に還元できたらいいなと考えています。